「人生の終わり」を意識することは、よりよく生きることにもつながります。
多くの人が「自分の終わり」を見つめて終活をしていくなかで、重要になってくるのが、「遺品整理業者の選び方」です。
今回は、それについて、終活カウンセラ―である私が解説していきましょう。
8割近くが知っている「終活」について
現在では「終活」というのは非常に広く認知されている単語になっています。
60代以上の8割近くが、この「終活」という言葉を知っており、かつ5割を超える割合の人が「終活は必要である」と考えています。特に女性の場合は、「終活は必要である」と答えた層は6割を超えており、多くの人の関心事となっている、と言えるでしょう。
これは2013年に、60代以上の人を対象として行われたアンケートです。2017年になった今は、さらに認知度は高まっていると言えるでしょう。
終活を始める年齢については、「終活は60代もしくは70代で始めるべきだ」と答える層が多いという統計結果も出ています。
会社などからの引退を期に、「第二の人生」「自分の終わり」を見つめる人が多いということが、統計結果からも分かってきます。
終活って何をすればいいの?
では、終活では何をすべきなのでしょうか。
終活ですべきことは、たくさんあります。
たとえば、「自分の財産の分け方」をエンディングノートに記すこともそのうちの一つです。
エンディングノートは「遺言」とは異なり、法的な拘束力は持ちえません。しかしながら、「自分の希望」を遺された家族に伝えるには有効な手段です。
また、現在は多くの人が病院で亡くなります。病気になって「治療」の見込みがないと判断されるとき、延命治療を行うのかどうかの考え方もまとめておくとよいでしょう。
加えて、「高齢者施設に入りたいのかどうか」「どのような老後を考えているのか」も書いておくことをおすすめします。その際に必要な財産の目録をつくっておくのもおすすめの方法です。
「自分が亡くなった時にだれに連絡をとってほしいのか」も、きちんと明文化しておきましょう。その人の連絡先を書いておくのも忘れずに。
このように、終活にはさまざまな「やるべきこと」があります。
ただ、そのなかでも特に考えておいてほしいことがあります。
それが、「遺品をどうするか」ということです。
私たちは物に囲まれて生きている
私たちは、思いがけないほど多くの「物」に囲まれて生きています。少ないと思っていた荷物、小さなマンションの1室の荷物も、まとめてみればトラックに収まりきらないほどの量になったということも珍しくありません。
「遺品整理にいくらくらいかかるか」ということを算出するのは、非常に難しいと言えます。ただ、1LDKでも7万円以上になると覚悟しておかなければなりません。
このため、まったく知識がないなかで、自分だけで整理をするのは困難です。
そのときに役に立つのが、「生前整理」であり「遺品整理」です。
生前整理は、現在では珍しいことではありません。株式会社リリーフという片付け業者では、依頼のうちの30パーセントが生前整理だと言われています。
また、遺品整理もさまざまな業者が行っています。
業者選びのポイント1:免許を持っていること
遺品整理や生前整理をするためには、「一般廃棄物収集運搬業許可」というものが必要です。
これは国の免許であり、一般家庭の不用品を回収するための資格です。
遺品整理の業者のなかには、しばしば、「うちは国の許可を持っています!」として、「産業廃棄物収集運搬業許可」を掲げているところもあります。
これは一見すると、「一般廃棄物運搬業許可」と似たようなもののように思われます。しかしこれは、「企業」の廃棄物を運ぶ資格であり、「遺品整理」「生前整理」を行うことはできません。
資格を持っていないのに、そのような職務に携わるということは、会社の根幹がいい加減だということに他なりません。絶対にこのような業者は選ばないようにしましょう。
業者選びのポイント2:会計は明瞭か
遺品整理や生前整理は、人それぞれで「処理するべき荷物の量」が違います。そのため、一概に○○円だ」と言い切ることはできません。
しかし、業者選びをするのであれば、「会計が明瞭かどうか」はしっかりと見なければなりません。ホームページに目安の金額を書いているところは選びやすいでしょう。
また、その金額は妥当かを知るためには、同じ条件で、いくつかの業者に見積もりをとるのがもっとも理想的です。
業者選びのポイント3:接客態度
意外に思われるかもしれませんが、「接客態度」は非常に重要です。
大切な人が亡くなった時というのは、とても衝撃とショックが大きいものです。遺品の整理をしなくては……と考えていても、ショックでなかなか手につかないこともあるでしょう。
そのような状況からなんとか周りを見られるようになって、「故人の遺品を片付けよう」としたとします。
そのようなときに、しっかりと遺された家族によりそい、言葉遣いも丁寧に、故人の残した洋服や思い出の品を大切に扱ってくれる業者は、家族にとって心強い味方になります。
しかし、「どうせ処分するのだから」「これはいらないだろう」と、独断で勝手に荷物を処分する業者にあたってしまったらどうでしょうか。大切な人を失った傷に、さらに塩を塗られることになりかねません。
打ち合わせのときに、「何か嫌だな」「この人の接客は嫌だ」と少しでも感じたのなら、その感覚を信じましょう。遺品整理の業者はたくさんあります。デリケートになっている心が、その業者に対して違和感を覚えたのなら、避けておくべきです。
業者選びのポイント4:業者の対応地域を調べる
資格を持ち、料金も明瞭で、接客態度が良いところであったとしても、それが近場にない業者であるのなら、利用することはできません。
遺品整理の業者というのは、その多くが、「対応地域」を設けています。近場~隣県くらいが対応地域であることが多く、それより先は対応していない、ということがあります。そのため、「その業者が自分のところに来てくれるかどうか」も合わせて知っておかなければなりません。
ほとんどのところは、「打ち合わせや見積もりは無料です」としているので、「ここにしよう」と決めたのならば、一度連絡してみるとよいでしょう。
業者選びのポイント5:サービスについて
遺品整理は、「遺品さえ整理してくれればよい」という家族もいれば、「部屋の清掃までをしてほしい」という家族もいます。
また、「基本的には遺品は処分してくれて構わないが、もし買い取れる物があるのであれば、それは買い取ってほしい」という家族もいるでしょう。
もちろん、それぞれ別の業者に頼むのも悪いことではありません。ただ、「一括して任せたい」ということであれば、「自分たちが求めるサービス」を提供しているところを選ぶと良いでしょう。その方が業者とのやり取りが少なくて済みます。
私たちは、普段生きているとき、「遺品整理」「生前整理」にはあまり目を向けようとしません。
しかし、遺品整理や生前整理について考え、だれもが避けられない「死んだ後の後始末」を考えることは、今の生き方そのものにも影響してきます。
また、「家族」の立場としても、いざというときに慌てずに済むためにこれらのことを考えおくのは有用です。