「遺品整理」という言葉は、よく耳にするものなのではないでしょうか。
ただ、実際には、遺品整理とは何か?一体どのような作業をすればいいのかわからない、という人も多いはずです。
ここでは、「遺品整理」について、4つのポイントに絞ってお話していきましょう。
ポイント1 遺品整理の概要について
まずは、「遺品整理とは何か?いったいどんなものか?」について見ていきましょう。
遺品整理とは、その名前の通り、亡くなった方が残したものを整理することを言います。
生前に自分自身で行う「生前整理」とは明確に区別されるものであり、「終活」というよりも「大切な人が亡くなった後に、家族や親しかった人が行う後始末」という意味合いが強いと言えます。
遺品整理にかかる金額は、実にさまざまです。
「人が1人亡くなった」といっても、その人の持っていた持ち物の量、生活スタイルによって遺品整理にかかる費用は大きくかわりますし、難易度も変わってきます。
そのため、「相場」を求めることは非常に難しいと言えます。一般的に、自分たちだけで処分する場合は安くなり、業者に依頼する場合は高くなります。
また、物によっては、「処分するためのお金がかかる」「処分するためには、特定の手続きを踏まなければならない」というものもあり、非常に大変です。
「高齢者施設に入っていて、そこで亡くなった。高齢者施設に入る前に、荷物の大部分は処分しており、家自体の処分も終わっている」という場合ならばともかく、「家がまだ残っている」「亡くなるまで自宅で過ごしていた」というようなケースの場合、遺品整理は1日だけでは終わらないことがほとんどです。
1週間程度はかかると考えておきましょう。また、遠く離れたところに住んでいると、さらに時間はかかります。
ポイント2 遺品整理はだれが行うのか?
「遺品整理はだれが行うと思いますか?」と聞いた場合、多くの人が、「えっ、自分たちで行うのが普通でしょう?」と答えると思います。
これはもちろん間違いではありません。遺品整理において、残された家族は決して無関係ではいられません。
重要な書類や貴重品などは必ず残された家族の元にわたることになりますし、そこで相応の手続きがなされることになります。
また、「喪の儀式の一環」として遺品整理を家族で行うこともありますし、費用の面を考えて家族だけで遺品整理を行うこともあるでしょう。
「そもそも同居をしていた」という場合は、特に、同居の家族によって遺品整理が行われるケースが多いと思われます。
ただ、「遠方に住んでいた」「荷物が極めて多い」「遺族の動揺やショックが大きく、とてもではないが片付けに着手できない」「海外におり、しばらく帰ってこられない」「家族間での意見の相違があまりにも大きく、第三者の仲介的な意味での遺品整理が必要」などのケースであるならば、遺品整理業者を使うというのも一つの手です。
彼らはプロの技、プロの目線から、的確に遺品整理を行っていきます。
また、必要に応じて家族の方にアドバイスを行ったり、意見を仰いだりします。
彼らの手による遺品整理は、家族が行うよりもずっと早く、スムーズで、効率的です。
ある意味では「思い出」がないからこそできることでもあるのですが、現在では彼らの手を借りて遺品整理をしていく人も決して少なくはありません。
また、遺品整理にまつわるご近所トラブルの1つである「ゴミの問題」も、業者を入れることによってスムーズに進めることができます。
もっとも、遺品整理業者のなかには、悪徳業者も少なからず存在します。
「遺品整理業者の20業者のうちの1業者程度は悪徳遺品整理である」と見る見方もあるので、どのような遺品整理業者に頼むかの精査は非常に大切です。
ポイント3 遺産と遺品
「遺品整理」が非常に難しいのは、その「遺品整理」のなかに「遺産」も含まれることです。(※ここでいう「遺産」は、「財産的な価値があり、高額であるもの」を指します)
たとえば、遺品整理を行っているときに出てきた高価な宝石。とても高額な絵。著名人が手掛けた茶碗や壺などがこれにあたります。
このような場合、単純に「いる・いらない」「遺品整理をした家族がもらう」などのようなかたちで決めるのは極めて危険です。
もちろん事前に話し合いが澄んでいるのならばこの限りではありませんが、そうではない場合、「出てきた遺産をどのように処分するのか」を相続人同士で話して決めていく必要があります。
現金とは違い、宝石などは、単純に分割してわけることができないからです。
このような場合、
・共有(全員で1つのものを共有して使うこと。別荘などの場合でよく使われる)
・代償分割(財産価値の高い遺品を相続した人間が、それの代わりとして、ほかの相続人に相応のお金を渡す)
・換価分割(宝石などを売り払って、そのときに得た金額を全員で分ける)
・現物分割(それぞれ、遺品をそのまま受け取る)
の4つの方法が考えられます。
ただ、いずれの場合であっても、相続人同士での話し合いが必要になるということで、遺品整理にはなかなか難しい問題が絡んでくるのです。
ポイント4 遺品整理、その整理の方法
試算的価値の高い遺品には、相応の対処が必要です。
では、それ以外の、故人が今まで使っていた、「ほかから見て資産価値は低い、あるいはそれほど高くはないものの、現在残っている遺品」の整理についてはどうすべきか考えていきましょう。
なおここでは、「親が1人暮らしをしていた、あるいは2人暮らしをしていたが片方が亡くなったので残された方を子どもの家に引き取る」という状態を想定しています。
このような場合、よく言われるのは、「残すべきものを考えて、あとの9割は捨てる」ということです。
なかには「99パーセントを捨てる」としている専門家もいます。「いらないものを捨てる」ではなく、「いるものだけをとりあげて、後はすべて捨てる」と言う心構えが大切です。
屋移りをしたり、所有者がいなくなったりする家に、荷物をおいておいてもそれはほぼ絶対と言っていいほど使いません。
そのような状況で荷物を残しておくと、思いがけない事故に繋がることもあります。そのため、不用品はすべて処分してしまいましょう。
ただ、「思い出の品」「若い頃から大切に持っていたもの」「アルバム」などはできる限り残しておいた方がよいでしょう。
これは故人を偲ぶよすがとなりますし、自分の子どもや自分の心に伝え、残していくことができるものです。
逆に、「ため込んでいたデパートの袋」「予備のタオル」などはすべて捨てます。
また、電化製品に関しては、古道具屋に引き取ってもらえるものならば引き取ってもらい、お金に変えましょう。
「新しい家にも、もう1台あると便利だから」と考えてしまいがちですが、たいていはそれも「いらないもの」になります。
もちろん、「新しい家で使っているものよりも、今の家にあるものの方が型番が新しい」「確実に使う」ということであればその限りではありませんが、そうではないのなら処分してしまうのが賢明です。
「遺品整理」は、多くの人にとって非日常の作業です。そのため、とまどいや疑問点も多く浮かんでくることでしょう。
しかし、だからこそできるだけポイントを押さえて、冷静にことに当たっていくことをおすすめします。いつかは片付けなければいけないものなのですから。